Ⅳ 不審者への対応
重要事項 1 利用者の安全確保を最優先すること。 利用者が危機にさらされている場合は、当該危機から脱出させることを第一に考える。また、利用者 の安全確保のため、そのままの場所にとどめる方が良いのか、別の場所に避難すべきか、判断し、即 応する。 2 職員自身の安全を守ること。 利用者の安全確保に加え、職員自身の安全確保を行うことは当然である。ここで、特に重要になるこ とは、一人で対応するのではなく、複数の職員で対応することである。 様々な場面を想定したうえで、どのように他の職員と連携が取れるかを検討し、職員間で共通の 認識を持つ必要がある。 3 一刻も早く警察に連絡すること。 不審者の身柄の拘束は警察に委ねる。少しでも危惧が想定される場合は、一刻も早く警察または消 防に連絡すること。 結果的に、通報するまでもないような案件であったという場合もあるが、それを心配して通報が遅 れるということがないようにする。(空振りであってもかまわない)。 また、危機的な混乱した状況の中では、警察や消防に連絡したのかどうか不明な場合もありうる。 「多分連絡しただろう」ではなく、「重複してもかまわない」と心がけること。 |
1 事前対策
(1)危機管理意識の高揚エ
ア 利用者、来訪者の危機管理意識の高揚。
本事業所は、地域に開かれた施設という理念もあり、危機管理対策に対する利用者と来訪者の理解を求めるとともに、職員、利用者、来訪者の危機管理意識を高めていく。
イ 訓練の実施
マニュアルを読むだけでは、実施に事案が発生した場合には対応できない。このため、防犯備品の実際の使用を含めて、職員が緊急時に対応できるよう、想定される事案を十分に検討したうえで、早良警察署等と連携した訓練を実施する。
ウ 地域との連携の強化。
常日頃から、自治会や地元組織等に対して、不審者情報の提供や、イベント開催時における防犯に係る協力要請をしておく。
エ 防犯体制の点検、改善
このマニュアルに基づく訓練だけでは、頻度は少なく実際に事案が発生した場合に対応できない。朝礼、会議、研修、打合せ等において、常時、職員間で防犯に係る課題を検討する必要がある。さらに、改善が必要な事項が認められた場合には、マニュアルの改正を含め、速やかに対応する。
(2)危機管理体制の整備
ア 通常時における対応
(ア)受付
どの様な場所でも、受付で身元を明らかにし、用件と訪問先を述べることは社会常識である。「受付で手続きをする必要があること」を示すことは、施設で安全管理が行われていることを示すことでもある。
① 日中の対応
・玄関等に受付場所を設置し受付において必要事項を聞きとり、来訪者のチェックを行うこと。
・来訪者の退去の確認など、施設に滞在している人の把握を徹底すること。
・来訪目的がはっきりしていない、態度に不審な点がある、大きな声でクレームをつける等の場合は直ちに施設責任者に連絡し、的確な対応方法について、指示を受け対応すること。
② 夜間の対応
・午後6時の終業時間以降は原則として、施設内への案内はしないこと。
(イ)声かけ
日常的に行われる来訪者に対する「声かけ」が、不審者発見のための、最も有効かつ基本的な対応である。
① 職員は来訪者に対して、挨拶や声かけを積極的に行い、用件確認や行き先案内を習慣化すること。
② 来訪者に声かけをする場合、次の点に留意すること。
・用件が答えられるか、また正当なものか。
・家族なら、利用者の名前が答えられるか。
・職員に用事がある場合、職員の氏名等が答えられるか。
(3)応急対策の検討・決定
ア 役割分担の確認
利用者の安全を確保するとともに、各職員が迅速かつ組織的に対応できるよう、あらかじめ役割分担を決めておく。不在職員がある場合は、臨機応変に対応すること。
イ 職員の動員計画
各職員の適性を考慮し職員を配備し、速やかな配備が可能となるよう動員計画を作成する。
また、緊急事態において、必要な事項が伝達され、報告され、指示が行き渡るよう合図等の伝達ルールを定めておく。
ウ 緊急連絡体制の整備
緊急時において、速やかな職員の招集が可能となるよう緊急連絡体制(職員グループライン)を定めておく。
2 応急対策
(1)不審者が侵入したときの対応
ア 不審者かどうかのチェック
(ア)受付を通っているか
・外来者として受付をしているか。
・受付を無視したり、不審な言動をしたりしていないか。
(イ) 声をかけて用件を尋ねる
・用件が答えられるか。また正当な用件か。
・外来者が家族であれば、利用者の氏名等が答えられるか。
・職員に用件があるのであれば、職員の氏名等が答えられるか。
(ウ)その他
・不自然な場所に立っていないか。
・凶器や不審なものを持っていないか。
・不自然な行動や暴力的な態度は見られないか。
イ 退去を求める
不審者かどうかのチェックを行い、正当な理由のない者には、丁寧に退去を求める。
(ア)一人で対応せず、必ず他の職員を呼び、協力を求める。
(イ)言葉や相手の態度に注意しながら、丁寧に退去を求める。その際に身を守るために1~1.5m
相手と距離を置く。
(ウ)以下のような場合は不審者として警察に通報する。
・無理に立ち入ろうとする。
・退去の要請に応じない。
・暴力的な言動をする。
(エ)一旦退去しても、再び侵入する可能性もあるので、敷地外に退去したことを見届ける。
(オ)再度侵入したり、施設周辺に居続けたりする可能性があるので、対応した職員はしばらく様子を見る。
(カ)必要に応じて、早良警察署に報告して、パトロールを要請する。
ウ 危害を加える恐れはないかのチェック
退去を求めても応じない場合は、利用者に危害を加える恐れがないか責任者は速やかに判断する。
(ア)所持品に注意する
・凶器を所持していたら、直ちに警察に通報する。
・不信者が興奮しないよう、丁寧に落ち着いて対応し、警察が到着するのを待つ。
・凶器を隠し持っている場合もあるので、手の動きに注意する。
(イ)言動に注意する
・暴力を行使しようとしていないか。
・制止を聞かず、興奮状態でないか。
・言動が不自然であったり、要領を得ないことを言ったりしていないか。
エ 隔離・通報する
退去要請に応じない場合や施設内に侵入した場合は、隔離・通報する。
(ア)凶器を持っていない場合は、生徒面談室に案内し、隔離する。その際、不審者は先に奥に案内し、対応職員は後ろから入り口付近に位置し、扉は開放しておく。対応は、必ず複数の職員で行う。
(イ)暴力行為抑止と退去の説得をする。
(ウ)責任者は早良警察署に通報するとともに、職員にも周知する。
110番通報の要領
・局番なしの「110」をダイアル(携帯電話でも同様)
・「福岡城西学園放課後等デイサービスチロルです。男(女)が侵入して暴れています。すぐ来てください」
・その後は質問に答える形で、
通報者氏名 〇〇 〇〇
場所 早良区西新5丁目15―21 ネオグローブ5階
電話番号 092-407-0456
などを落ち着いて知らせる。
オ 利用者の安全を守る
隔離できない場合は、身近にある用具を用いて適当な距離を置き、複数の職員で取り囲むなどして、移動を祖阻止し、被害が発生しないようにする必要がある、避難が必要な場合には、安全に利用者を誘導する。
(ア)防御(暴力の抑止と被害の抑止)する。
① 応援を求める。
・大声を出す。
・携帯電話等で警察等に知らせる。
② 不審者との距離をとり、移動を阻止する・
・防犯用具の利用。
・傘、消火器、机、椅子など近くにあるものをなんでも活用する。
(イ)利用者を掌握し、安全を守る。
① Ⅰ及びⅡ責任者が利用者を掌握し、安全を守る。他の職員も指定された教室において利用者の安全確保に努める。
(ウ)避難の誘導をする。
被害の拡散を防止するため、避難が可能な場合は、状況に応じて避難の誘導をする。施設外の避難場所は、1階ビル前駐車場とする。
カ 負傷者がいるかのチェック
不審者が暴力行為を働いた場合は、利用者や職員が負傷することが考えられるため、情報収集できる体制を整えておく。
キ 応急手当
負傷者がいる場合は状況に応じて速やかに119番通報し、救急隊の到着まで養護教諭が応急手当を行う。
3 事後対策
(1)復旧・復興の推進
ア 情報の整理等
不審者の暴力行為等により、利用者や職員に負傷があった場合は速やかな情報の整理と提供、家族等への説明、報告書の作成等を行う。
(ア)対策本部の設置、活動開始
(イ)情報収集
・窓口を一本化し、経過を整理しておく。
(ウ)家族等への説明
・出来るだけ速やかに家族等に連絡し、施設又は病院に急行してもらう。
・報道機関への情報を整理し、適宜提供する。担当提供者は責任者のみとする。
・家族等への説明会の実施。
(エ)他の利用者、職員への心のケア
・速やかに個別面談を実施し、利用者一人ひとりの心の支援に努める。
(2)対応マニュアルの見直し
実際にマニュアルが機能するかどうか、警察等の協力を得た訓練をもとに検証し、定期的に見直し、改善を行う
ア 見直し、改善にあたってのチェックポイント
(ア)人事異動等による分担や組織の変更はないか。
(イ)施設設備、利用者の状況に変化はないか。
(ウ)地域や関係機関との連携に変更はないか。
(エ)防犯訓練、研修会等の図上演習(卓上訓練)で、問題点や課題の発見はなかったか。
(オ)先進施設の事例や社会情勢の変化から、自施設に不足している項目はないか。
TEL:092-407-0456